地政学と資源
地政学と資源は密接に関連しています。このブログでは、エネルギー資源が国際政治に与える影響、特に天然ガスや石油の地政学的重要性を初心者向けに簡単にまとめました。
地政学と資源
地政学は地理と政治を合わせた学問で、地理という物理的なものに対して政治の影響を学ぶものですが、資源がこの中にも含まれているようです。
地政学と資源については、2020年より法律文化社から『資源地政学─グローバル・エネルギー競争と戦略的パートナーシップ』という書籍が出ております。
今回のブログではこの書籍を参考にさせていただきながら、地政学と資源ついてまとめてまいりたいと思います。
資源はエネルギー資源を指し、産油国と消費国の立場に分かれます。
産油国から消費国へエネルギーが運ばれるためには、道路、鉄路、海路、パイプラインと方法が取られ、これらの方法では第三国も関わります。
つまり資源を得るためには地政学はとても大切な学問ということがわかります。
あの有事は資源を巡る地政学
あの有事とは「ウクライナ」問題です。
ロシアのウクライナ侵攻軍事衝突は、ロシアがクリミア半島を占領したあと、ウクライナは元々ロシアだ!という大義名分で始まった戦いのように見えていますが、実はそこには資源問題もあるようです。
ウクライナにはロシアからヨーロッパへ運ばれるパイプラインがあります。
ロシアは世界第二位の天然ガス生産国です。 天然ガスの供給先がヨーロッパです。
ここが攻撃されてしまったら、ヨーロッパの一部の国がエネルギー不足となります。
(ウクライナのことはここまでにします。)
あの有事、まだおきていない有事「台湾有事」。
これももし起こったら資源の問題へと繋がります。日本の石油のほとんどを中東から輸入しており、台湾は石油産油国から日本への海路にあたります。(台湾・フィリピン間のバシー海峡~南シナ海~マラッカ海峡)もし有事が発生したら大幅に迂回することとなりコスト高につながります。
台湾有事により日本が受けうる経済的な損害は計り知れない。石油の 9 割以上を中東か
台湾有事抑止における日本の対応に関わる考察
ら輸入している日本は、台湾・フィリピン間のバシー海峡~南シナ海~マラッカ海峡を経
由する従来のルートが使用できなくなり、大幅に迂回するルートを使用せざるを得ないた
め、輸送コスト増加による石油価格の高騰や、戦況によっては日本の船会社が運航する船
(日本商船隊)の乗組員(推定6万人弱)の大半を構成する外国人船員が乗組みを拒否し、
石油の輸入そのものができない状況も十分に考えられる。
ウクライナの問題や身近な台湾の問題をあげましたが、石油だけではなく、水資源の問題もあります。
現在は有事にはなっていませんが、シンガポールはマレーシアから水を輸入しています。
大きく騒がれてはいませんが、随時この問題がニュースになることもあります。
島国のシンガポールは半世紀以上、自国で消費する水の半分を隣国マレーシアから輸入してきた。
焦点:シンガポール「水問題」が再燃、マレーシアの債務削減で | ロイター –
地政学と資源競争は国に大きく影響を与える
資源地政学とも呼ばれる「地政学と資源」。人が生活するうえで大切な資源。
今回は天然ガス、石油と水についてお伝えしましたが、食料も資源です。
地政学は国同士の政治の関係からどのようなリスクがでてくるのかを理解し、今後の行動(経済活動)などにいかす学問です。
資源の産地となる国から消費する国までにはあらゆる国(三国)が関わります。そこには有効ではない国もありますし、紛争も起きます。
大昔のようにひとつの国が自力で活動をする時代ではない現在、各国との関わりがとても大切になっています。
地政学も資源の視点でみると、経済リスクや環境リスクにも関わってきます。
地政学って面白いですね。
リスク視点だけでもこれだけ広がります。国の視点に当てはめたらもっと凄い学びがありそうです。