地政学における環境的リスクとは、気候変動による異常気象や資源不足、農業と食糧安全保障への影響など、多岐にわたります。このブログでは、地政学的な視点から気候変動の影響を伝え、国際的な取り組などへと繋げていきます。
地政学 環境的リスクとは
地政学の環境的リスクを学ぶということは、異常気象の増加、資源不足、および農業と食糧安全保障への影響という点で、重要な役割を持っています。(このブログではこの内容を繰り返します)
これらの環境的なリスクへ対応するには、地政学という学問を超えて、地球が対象国に対応能力があるのかと問いかけているようにみえます。実際は対象国だけで対応することができず他国の協力が必要です。
そして、環境的リスクは農業生産へ影響するため、世界的な食糧供給と価格に影響を与える可能性があります。
つまり環境的リスクは、そのままにしておくと経済的リスクにつながり、政治的なリスクへと膨らみます。
地政学の環境リスクと気候変動
気候変動を地政学の環境リスク視点でお伝えいたします。
気候変動は地球全体に影響を及ぼし、国際政治を大きく変えていしまいます。
特に気象や環境破壊問題は、国々間の関係や国際的な取り組みに大きな影響を与えています。
気候変動は、ただの環境問題に留まらず、地政学的な環境リスクとして国際政治に大きな影響を及ぼしています。国際社会は、この課題に対処するために共同で取り組む必要があります。
持続可能な未来に向けた国際的な努力は、気候変動の影響を最小限に抑え、より安定した世界を築くための鍵となるでしょう。
地政学的な気候変動
気候変動は、異常気象の増加、海面上昇、農業への影響、資源の枯渇など、さまざまな形で地政学的な環境リスクを高めています。
気候変動で環境リスクが発生すると、国際的な安定性に直接的な影響を及ぼし、国家間の関係に新たな緊張をもたらします。
異常気象は、国家のインフラを脅かし、経済活動に深刻な障害をもたらします。
そして干ばつや洪水は農業生産に影響を与え、食糧安全保障の問題を悪化させています。また、温暖化による海面上昇は低地の国々にとって存続の脅威となり、気候難民の問題を引き起こす可能性があります。
国際的な取り組み
気候変動への対応には、国際社会の共同の取り組みが不可欠です。国際的な枠組み、例えばパリ協定は、世界各国が地球温暖化の抑制に向けて協力するための基盤を提供しています。
これにより、国際社会は、温室効果ガス排出削減、再生可能エネルギーへの移行、持続可能な農業方法の採用など、さまざまな方法で気候変動に取り組んでいます。
さらに、国際機関や非政府組織は、気候変動に対する意識の高揚、教育の提供、持続可能な開発目標(SDGs)の達成への努力にも貢献しています。これらの組織は、地域的な課題への対応や、技術的・財政的支援の提供により、国際的な協力を促進しています。
パリ協定とは
パリ協定とはフランスのパリにて2015年12月12日に採択された、気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定のことです。
世界共通の長期目標として、産業革命前からの平均気温の上昇を2℃より十分下方に保持。1.5℃に抑える努力を追求。(目標)
パリ協定の概要 環境庁
地政学における環境的リスクの事例
ここでは、地政学における環境的リスクについて事例とともにお伝えします。気象変動や環境破壊問題において、国ごとに異なる影響を及ぼしています。
事例について、より深く理解いただくために参考サイトについても合わせてご紹介いたします。
中東・北アフリカ地域:水不足による緊張
中東・北アフリカ地域(MENA地域)では、水不足が深刻な地政学的な問題となっています。
この地域は天然の水資源が限られており、気候変動による降水量の減少は、既存の水資源の競争を激化させています。国々間の水資源の分配に関する対立は、政治的な緊張を高め、地域の安定性に影響を与えています。
河川や人工貯水池が少なく、水不足が重大な問題となっているMENA地域は、気候変動の影響を最も深刻に被る地域である。MENA地域の人口は世界人口の6.3%だが、世界の再生利用な水資源の1.4%にしかアクセスできない。いくつかの居住区は、そう遠くない2100年には居住不可能になるという研究もある。これはそれ自体が移住を促進し、MENA地域におけるさらなる政治的混乱や紛争の引き金にもなりかねない。
中東情勢分析シリーズNo.3 中東・北アフリカ地域と気候変動――水不足と食料不足問題 – アジア経済研究所
MENA地域は降水量の減少、気温上昇、干ばつが水不足をはじめとした食料問題に発展。
2007-08年の世界的な食料危機の際には、エジプトをはじめ各国で暴動が起き、社会不安につながった。国連食糧農業機関(FAO)は、アラブ諸国の5500万人近く(総人口の13.2%)が食料不足状態にあり、特に紛争の影響が大きいイラク、ソマリア、シリア、スーダン、イエメンで状況が深刻であると警告している
中東情勢分析シリーズNo.3 中東・北アフリカ地域と気候変動――水不足と食料不足問題 – アジア経済研究所
参考:中東情勢分析シリーズNo.3 中東・北アフリカ地域と気候変動――水不足と食料不足問題 – アジア経済研究所
南アジア:洪水と農業への影響
南アジアでは、特にモンスーンの季節に洪水が頻繁に発生し、大きな環境リスクとなっています。
洪水は、農地を破壊し、食糧安全保障に影響を与え、洪水による被害は、経済的損失をもたらし、地域の貧困問題を悪化させる要因となっています。
【2017年9月2日 カトマンズ(ネパール)/ニューヨーク発】
南アジア大洪水:ネパール・インド・バングラデシュで被災した子ども1,600万人
南アジアの3カ国、ネパール、インドおよびバングラデシュは、この数週間、モンスーンによる豪雨と壊滅的な洪水に見舞われ、何百万人もの子どもたちと家族の生活が破壊されました。ユニセフ(国連児童基金)は、約1,600万人の子どもたちとその家族が命を守る緊急支援を必要としていると推定しています。
参考サイト:南アジア大洪水:ネパール・インド・バングラデシュで被災した子ども1,600万人
アフリカ:干ばつと移動
北アフリカに限らず、アフリカ大陸の多くの地域では、干ばつが頻繁に発生し、農業生産に深刻な影響を与えています。
干ばつは、食糧不足や飢餓を引き起こし、結果として人々の移動を促進しています。これらの移動は、移動した地域人口を増加させ、受け入れ国との間に政治的緊張を生じさせる可能性があります。
アフリカの角、干ばつが深刻化5カ月で倍増、2,000万人以上の子どもが危機にユニセフ、支援資金不足の可能性に警鐘
アフリカの角、干ばつが深刻化 5カ月で倍増、2,000万人以上の子どもが危機に ユニセフ、支援資金不足の可能性に警鐘
干ばつにより深刻な飢えや渇きは感染症の脅威にさらされます。2,000万人以上の子どもとはエチオピア、ケニア、ソマリアの子どもたちのことです。
この事例は南アジア、中東、アフリカと限定されていますが、世界の異常気象を調べると、アメリカやヨーロッパでも発生しています。
しかし、アメリカやヨーロッパなどはインフラが整備されているため、今回ご紹介した国のようなリスクへは繋がりづらくなっています。
しかし、異常気象が環境に与える影響は、国を貧困にし、他の国の難民へと…
難民の受け入れは、地政学が関係してくるため、環境的リスクは地政学とも関係してくるということです。
地政学における環境的リスク持続可能な未来へ
地政学における環境リスク、特に気象や環境破壊問題に対処するためには、国際協力の必要性が今までになく高まっています。
持続可能な未来を築くためには、国々が協力し、共通の課題に取り組む必要があります。
気候変動や環境破壊は、国境を超えた地球規模の問題です。
これらの課題に対応するには、単一国家の努力だけでは不十分であり、国際社会全体の協力が必要です。他の章でも伝えたパリ協定のような国際的な枠組みは、各国が温室効果ガスの排出削減などの目標に取り組むための基盤を提供しています。
また先進国と今回紹介した国との間のテクノロジーと知識の共有も重要です。
テクノロジーを利用した持続可能なエネルギー源への移行、効率的な水資源管理、農業技術の改善など、多くの分野での協力が求められています。
先進国は、資金、技術、専門知識を共有することで、このような環境問題に効果的に対処できるよう支援することができます。
他にも経済的支援(パートナーシップ)や環境保全の施策アドバイスなど各国々てやれることは沢山あります。
そのためにも多国間対話の促進が重要となってきます。
国々が情報を共有し、協力関係を築くことがで、対話は、相互理解を深め、共通の目標達成に向けた実効性のある行動計画を策定する基盤となります。
地政学 環境的リスクは平和へと繋がる
ここでは、地政学における環境的リスクの重要性が明らかにしました。
気候変動による異常気象、資源不足、農業と食糧安全保障への影響は、国際政治に大きな影響を及ぼしています。中東・北アフリカ地域の水不足、南アジアの洪水、アフリカの干ばつなど、具体的な事例を通じて、これらのリスクが地政学的な緊張や紛争の原因となり得ることが示されました。
また、パリ協定などの国際的な枠組みが、気候変動に対処するための重要な基盤であることが強調され、持続可能な未来に向けた国際的な努力の必要性が浮き彫りになりました。
このブログを通じての気づきは、きな臭いリスクの多い地政学において環境的リスクへの理解は、世界平和へと繋がるのではないかと感じました。
人による能動的な争いではなく、環境がもたらす自然災害が、人を団結させる。
地政学は奥の深い学問ですね。