地政学のシーパワーとは、海洋を支配する力のこと。この概念はアルフレッド・セイヤー・マハンによって提唱され、国際政治や経済に大きな影響を与えています。
シーパワーとは?シーパワーの国とは、このブログでは地政学の中で大切な要素 シーパワーについてまとめています。
地政学のシーパワーとは
シーパワー(海上権力)は、国家が海洋を支配し、その能力を活用する総称です。
この概念は、アルフレッド・セイヤー・マハンによって提唱されました。
シーパワーは、海洋を利用する商船隊や漁船隊、海洋を支配するための海軍力、造船などの工業力、港湾施設などから構成されます。シーパワー国家は、海洋での自由な活動を確保し、平時・戦時において自国の船舶の航行を保障する一方で、敵対国の航行を妨害する能力を持ちます。
アルフレッド・セイヤー・マハンとは
アルフレッド・セイヤー・マハンとは、アメリカ海軍の提督であり、海軍戦略に関する重要な歴史家、教育者です。彼は特に、その著書『海上権力史論』で知られており、この中で海洋の支配が国家の力と国際関係に与える影響を論じました。
海上権力史論がシーパワーそのものと言えます。
アルフレッド・セイヤー・マハンがシーパワーにこだわったのは
この頃の世界の主要国は海外領土の拡大と貿易ルートの確保を目指しており、マハンは、歴史を通じて海洋が国家の力にどのように影響を与えてきたかを分析し、海洋支配の重要性を強調。
海洋支配が国家の経済的、軍事的成功に不可欠であるとにこだわりました。
シーパワーの特徴
シーパワーは、海洋における高度な機動性と持久性を兼ね備えた海上戦力に基づいています。これにより、広範囲な海洋での活動が可能となり、国際政治において重要な役割を果たします。
また、シーパワー国家は、地理的な位置、長い海岸線、良い港湾、造船用資材の獲得容易さ、航海経験豊富な人口などの要素を持ち合わせています。
より具体的にご紹介します。
シーパワー国家の地理的位置と優位性
- 戦略的位置: シーパワー国家は、主要な航行路や海峡の近くに位置することが多く、これにより交易や軍事作戦において戦略的な利点を持ちます。例えば、イギリスは大西洋とヨーロッパ大陸の間の要衝に位置し、歴史的に強力な海軍力を築きました。
- アクセスと影響力: 海に面していることで、世界の他の地域へのアクセスが容易になります。これにより、海外との貿易、文化交流、政治的影響力が強化されます。
良い港湾とは
- 自然の保護: 良い港湾は自然の要素によって保護されています。例えば、深い水域、自然の防波堤、十分なアンカレッジ(錨地)があり、大きな船舶が安全に停泊できることが重要です。
- インフラとアクセス: 効率的な貨物取扱い施設、近代的な物流システム、良好な内陸交通網へのアクセスなどが必要です。
航海経験豊富な人口の特徴
- 海事知識と技術: 航海経験豊富な人々は、航海技術、海洋学、天候パターンの理解、船舶の運用とメンテナンスに関する深い知識を持っています。
- 適応能力: 海上での生活には、不確定な環境への高い適応能力が求められます。これには、危険な天候や機械的な問題に対処する能力が含まれます。
シーパワーはどの国
歴史上、多くの国がシーパワーとしての地位を確立してきました。
今もシーパワー(海洋力)として知られる国々には、歴史的に複数の国が該当します。
それぞれの国がシーパワーとしての地位を確立した背景や理由は、地理的、経済的、軍事的な要素に基づいています。
- イギリス: 地理的にヨーロッパとアメリカの間に位置し、強力な海軍を持つことで世界的な帝国を築きました。海上貿易と植民地の統治により、世界的な影響力を持つ国となりました。
参考:Maritime history of the United Kingdom – Wikipedia - アメリカ合衆国: 大西洋と太平洋に面した広大な国土と、戦後の経済・軍事力の増大により、世界最大の海軍力を持つ国となりました。冷戦期においてはソビエト連邦との対立において重要な役割を果たしました。
現在のアメリカ合衆国の海洋力に関する情報は、次のアメリカ海軍研究所のサイトで読むことができます。
The American Sea Power Project - 日本: 独自の地理的位置と海上交通路へのアクセスにより、海上自衛隊はアジア太平洋地域における重要な海軍力としての地位を確立しています。
過去の話ではありますが、日本の海洋力と帝国主義の成長についての詳細をアメリカ海軍研究所が研究してます。
Sea Power and the Growth of Japanese Imperialism
シーパワーの影響
シーパワーは、国際政治や経済に大きな影響を及ぼします。
海洋を通じた貿易ルートの確保、資源の獲得、軍事的な優位性などが、シーパワー国家の強みです。
また、シーパワー国家は、海洋を舞台にした外交や軍事戦略を展開し、世界のバランスに影響を与えることができます。
世界史からみたシーパワーの影響としては、古代アテネ、ヴェネツィア、十字軍、イギリスの台頭、第一次・第二次世界大戦、冷戦などが海洋力の戦略的な利点として知られています。
英文ですが、次のサイトではこのことが詳しく書かれています。
US Strategists on the Advantages and Limitations of Sea Power – The Diplomat –
国間の対立や戦争だけではなく、陸権力と海権力の間の対立もありました。
例えば、ナポレオンのフランスやヒトラーのドイツのような大陸国家は、海洋力を持つ同盟国を求め、沿岸地域の支配を目指しましたという歴史。
これはシーパワーとランドパワーが相互作用の中から国際的に影響を与えたとも言えます。
今で言うなら、台湾有事もシーパワーの影響と言えます
ランドパワーにあたる中華人民共和国がシーパワーを得るために台湾を攻める。
そこいはシーパワー国家のアメリカがいるのです。
地政学の二大勢力 のひとつシーパワー
「地政学のシーパワ」ここではシーパワーの考え方とその重要性についてまとめました。
シーパワーは、海を利用した国家力のこと、シーパワーは国際政治や経済に大きな影響を及ぼしています。
最初に紹介をしたアルフレッド・セイヤー・マハンの理論に基づき、シーパワー国家の特徴として地理的位置、良い港湾、航海経験豊富な人口などを説明し、シーパワー国家は戦略的位置やアクセス、影響力を活用し、国際政治や経済において重要な役割や、歴史上の事実を紹介。
最後にシーパワーの影響についてまとめました。
地政学の二大勢力 のひとつシーパワー、もうひとつのランドパワーとともに学べまば世界地図のみかたが変わりますよ。