地政学における「ランドパワー」という概念は、国家の陸地を利用する潜在的、顕在的な能力を指します。
このブログでは、ランドパワーの意味、特徴、影響力を持つ国々、そしてその国際的な影響について少しだけ触れて、わかりやすく説明をしていきます。
地政学のランドパワーとは
ランドパワーは、陸続きで他国と国境を接している大陸国家が持つ力のことを指します。
国土の多くが陸地と接している必要があります。
ランドパワーの概念は、ハルフォード・マッキンダー(Hartford Mackinder)によって提唱され、地政学において重要な役割を果たしています。
面白いことにマッキンダーは自身のこの理論を一度も地政学と称したことがないとか。
ランドパワーである陸地は人類の基本的な生息地であり、その重要性は普遍的。
ランドパワーは、陸上戦力、陸地とその上の住民・資源の支配権、開拓・開発能力、交通施設や交通手段を用いた輸送能力、建築物や施設の建設能力など、多岐にわたる要素から構成さるからです。
ランドパワーの特徴
ランドパワーの特徴は箇条書きにすると次のようになります。
- 支配する大陸が多きければ大きいほど多様な能力を持つ
- 地形がすべてに影響する
- 陸地に居住する住民を支配できる
「地形がすべてに影響する」とは、陸上地形を改変し、都市や農場、交通網などを構築することです。また、住民への支配は、法と権力を用いて住民を組織化・統制・運用することを意味します。
ランドパワーは、政治、経済、戦争、社会、治安維持など、国家運営の多くの側面に影響を及ぼします。
ランドパワーにはどんな国があるか
「ランドパワーにはどんな国があるか」歴史上、ランドパワーを強く持つ国家
- モンゴル帝国
- ロシア帝国
- ソビエト連邦
- ロシア連邦
- ヨーロッパ諸国(イギリスを除く)
- 元
- 大清帝国
- 中華民国(1949年以前で現在の台湾を除く)
- 中華人民共和国
ここでお気づきかと思いますが、ユーラシア大陸にある国がほとんどです。
ユーラシア大陸がランドパワーにあたるのは、ハルフォード・マッキンダーがもともとハートランド論を唱えており、ユーラシアを基点とした国際関係学の力学を地理的に分析したからです。
歴史を振り返ると、モンゴル帝国は、広大な陸地を領有し、その地理的、政治的、経済的利点を活用して国際的な影響力を持っていました。
今も、ロシア連邦や中華人民共和国は国際的な影響力を持っています。
ハートランドとはユーラシア大陸における中核地域を中軸地帯のことです。
ユーラシアとはヨーロッパとアジアを合わせた造語です。
地政学のランドパワーとその影響について
ランドパワーは、現在も国際関係において重要な役割を果たします。
ランドパワーを持つ国家は、その地理的な位置や資源の豊富さを利用して、国際政治や経済に大きな影響を与えることができます。
また、ランドパワーとシーパワー(海洋権力)はしばしば対立し、世界のパワーバランスに影響を及ぼします。
現在世界で起きている有事にはウクライナのようにランドパワーによるものや、懸念されている台湾有事のようにランドパワーとシーパワーとの対立が根本にあります。
補足:日本はシーパワーの国家です